令和2年度 校内研究
1. はじめに
令和元年度に策定された,山梨県教育振興基本計画の基本目標Ⅰは,「生きる力」を育む質の高い教育の実現であり,その施策項目(2)に「豊かな心の育成」が挙げられている。
昨年度より道徳は「特別の教科」として位置づけられ,体系的,計画的な道徳教育の充実が求められている。
本校ではこれまで,「特別の教科 道徳」の趣旨を踏まえた授業づくりに関する研究と実践を積み重ねてきた。その実践を基に,今年度は指導と評価の一体化を目指し、研究を行っていきたい。学習の成果を的確に捉えた評価ができる道徳科の授業を行うために、指導方法の質的改善と充実を目指して研究を続けたい。
さらに、来年度は新学習指導要領が全面実施される。これに対応するべく、道徳だけでなく他の教科においても指導と評価の一体化に焦点を当てて研究を進めていきたい。
2. 研究主題
「自己の生き方についての考えを深める道徳教育」
~教科の指導と評価の一体化を目指して~
3. 主題設定の理由
(1) 学校教育目標から
本校の教育目標は、「心身ともにたくましく、創造性に富む情操豊かな生徒の育成」であり、経営目標は「知恵と心と体力のバランスのとれた生徒の育成を目指す学校」である。
知恵=学びと生活の基礎・基本(方法知=生きる力を支える知恵)
心=自分を大切にし、他を思いやる心(やさしさ・生命尊重)、自分の意志を大切にし、貫ける心(強さ)、自然や周囲の人たちと調和しながら楽しく生活しようとする心(協調)
体力=運動能力 健康 気力
求める生徒像にある「知性と創造力」、「たくましい体」、「主体性」とともに「豊かな心」を育むために、道徳的な価値観を育てることが重要であると考える。
(2) 生徒の実態と新学習指導要領から
本校の多くの生徒は、素直で落ち着いた学校生活を送っている。また、学校行事には積極的で、特に学園祭の全校表現「ソーラン節」や全校応援などに誇りを持って取り組む姿が見られる。その反面、家庭環境に問題を抱えていたり、友人関係がうまくつくれなかったりする生徒も多く、不登校傾向の生徒も少なくない。こうした現状から、よりよく生きるための基盤となる道徳性を養いたい。
道徳性を養う心に響く道徳の授業にするためには、日常の観察や情報交換、生活記録ノートなどを通して実態を把握し、目標を明確にしていく必要がある。その上で、資料の提示方法、心を揺さぶる発問、他の教材との関連などの多様で効果的な指導法を取り入れ「考え、議論する道徳」の授業を組み立てることが求められる。
さらに、各時間のねらいの実現に向けた授業づくりと道徳性に関わる成長の様子(評価の視点)からの授業改善をすることで指導と評価の一体化を目指したい。
また、来年度から新学習指導要領が全面実施される。今回の学習指導要領では、各教科等の目標及び内容が、育成を目指す資質・能力の三つの柱(「知識及び技能」「思考力・判断力・表現力等」、「「学びに向かう力、人間性等」」にそって再整理され、教師が「子供たちにどのような力が身についたか」という学習の成果を的確に捉え、深い学びの視点からの授業改善を図る、「指導と評価の一体化」が実現されることが求められている。道徳だけでなく、全教科において主体的・対話的で深い学びができるよう研究することで、学校教育全体で生徒の道徳性や人間性を高めることができると考える。
以上の(1)(2)の理由から研究主題を設定した。
4. 研究仮説
ねらいを明確にしたうえで多様な指導法を取り入れ、考え議論する授業を行うことにより、生徒は道徳的諸価値を自分との関わりの中で理解し、物事を多面的・多角的に考え、主体的に判断することができるようになり、他者と共によりよく生きるための基盤となる道徳性を育てることができるであろう。さらに、全教科において「指導と評価の一体化」を図ることで、学校生活全般において道徳性を引き出していくことができるであろう。
5. 研究内容
(1) 多様で、効果的な指導法を取り入れた授業への改善
「考え・議論する道徳」の授業の継続
積極的な授業公開、交換道徳の実施
教材提示の工夫。発問の工夫、授業形態の工夫、多面的・多角的に考える場面の設定
(2) 生徒の良さを伸ばし、成長を促す評価
授業と評価の一体化を目指す
教師が振り返りできる評価の工夫(PDCAサイクル)
6. 研究方法
(1) 道徳の授業力の向上
- 授業公開の推進
- 授業の規格化 『湖南WAY』『ベクトル10』の継続
- 授業実践を通した多様な指導方法の工夫や改善点の検証 4 趣旨を踏まえた適切な評価
(2) 学年部会での研究
- 生徒の実態把握と共通理解
- 交換道徳
- 指導案検討
(3) 領域別(道徳)、教科別研究会との連携
- 学年間の情報交換
- 評価についての研究
- 年間指導計画と別葉