○特定事業主行動計画(平成28年度〜平成32年度)

平成28年9月28日

T 総論

 

1 目的

 我が国では、急速な少子化の進行、家庭・地域を取り巻く環境の変化等を踏まえ次世代の社会を担う子どもたちの健全な育成を計画的に支援するため、平成15年7月、平成26年度までを有効期限とした「次世代育成支援対策推進法」(以下、「次世代法」という。)が制定された。次世代法に基づき、当組合では平成17年度に「特定事業主行動計画」を策定し、職員が子育てをしやすい職場作りを進めてきた。

 また、平成26年4月に次世代法の有効期限が平成36年度末まで10年間延長された。平成27年8月、女性がその個性と能力を十分に発揮し、職業生活において活躍することを通じて、豊かで活力ある社会の実現を目指す「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(以下「女性活躍推進法」という。)が制定され、同法に基づき、市町村等では、行動計画を定め、女性の活躍に資する取り組みを積極的に進めることとされた。

 平成28年4月1日現在、当組合の女性職員数は、正規職員で3人である。また、非常勤一般職及び臨時職員を含めると、全体の職員数は26名となるが、その中で女性職員の割合は60%ほどになり、それぞれ様々な職場や立場において、日々の業務に精励している。今後、さらに複雑・多様化する組合ニーズに柔軟かつ的確に対応するためには、性別を問わず、全ての職員が必要な経験を積み重ねながら、自身の能力を高めることにより、様々な視点から知恵を出し合い、政策形成に参画することが必要となる。

 このことから、職員を雇用する事業主として、全職員の仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現を基本としつつ、子育て支援に焦点を当てたこれまでの計画に、新たに女性の活躍を推進する取り組みを加えるなどの改訂を行い、様々な取り組みを一体的に推進することで、当組合で働く女性が自分らしく活躍できる環境を整備し、ひいては組織全体の活性化を目指すものとする。

 

2 計画の推進体制

 この計画は、次世代法と女性活躍推進法に基づき、河口湖南中学校組合長、河口湖南中学校組合議会議長、河口湖南中学校組合代表監査委員、河口湖南中学校組合公平委員会が策定する特定事業主行動計画です。なお、行動計画は、富士河口湖町長(他、同町関係各事業主)が策定した特定事業主行動計画を準用し、本組合の小規模事業主(26名程度)という事情をも考慮し、関係事項の取り組みを行うこととする。

 

3 計画期間

 平成28年度から平成32年度までの5年間を計画期間とし、取り組みを進める。今回の改訂では、計画期間は変更せず、女性活躍推進法の趣旨を踏まえて取り組みを追加する。また、計画の最終年度である平成32年度には、検証・見直しを行った上で、引き続き5年間計画期間を延長することとする。

U 具体的内容

 

1 出産や育児にかかる制度の周知について

 次世代育成が社会的な課題と認識され、これまで様々な対策に取り組んでいる中で、実際にその対策が実効性を持って行われるためには、次世代育成支援のための趣旨や制度内容が十分に理解されなければなりません。そのためには、子育てを行う職員はもとより、周りの職員も含め、情報提供や意識啓発の取り組みを進めていきます。

(1)本人に対する情報の提供と職員全体に対する意識啓発等の取り組み

【取り組み】

 これから出産や育児を迎えようとする職員は、生活環境の大きな変化を迎えます。
仕事と家庭を両立していくためには、十分な情報と周囲の配慮が必要です。

@【本人】

・出産を迎えることが分かったら、所属長へ報告しましょう。出産・育児にかかわる休暇・休業制度を把握して、どのような形でそれらを利用していくかを検討してください。

A【所属長】

・本人から相談があった場合、出産・育児にかかる各種制度の説明や教育委員会事務担当との調整に加え、出産までの勤務における配慮の必要性や休暇休業中の業務運営体制の検討・相談を行ってください。

・育児休業、休暇、時間外勤務の制限などの各種制度を理解しやすいようにまとめたハンドブックを作成し、改正等があれば随時、周知徹底に努めていきます。また、職員の育児等に関する各種相談を受ける体制を整える他、子どもが生まれるタイミングに合わせ育児に関する各種情報を提供するなど、安心して育児ができるように協力していきます。

B【全職員】

・出産・育児を親となる職員本人だけの問題とせず、業務を行うにあたっての協力や配慮の必要性を理解してください。

【目標】

 これらの取り組みを通じて制度の周知と意識の醸成を図り、すべての職員が次世代育成支援に向けた取り組みの重要性とそれを支える制度を理解することを目指します。

 

2 出産・子育てしやすい勤務環境の整備について

 出産や育児、その後の職場復帰の家庭では、仕事と家庭の両立に不安を感じます。周囲への気兼ねから、必要な休暇の取得をためらうなど、職場の配慮不足によって過大な負担がかかるようであれば、安心して出産・育児が行える環境は望めません。また、次世代育成支援対策では、男性も含めた働き方の見直しも重要とされており、父親となる職員も考慮しなければなりません。

(1)出産・育児と職場復帰を円滑に行うための取り組み

【取り組み】

 妊娠した職員には、母性保護の観点から各種の休暇制度が適用されます。特に産前休暇に入るまでの期間は業務を行いながら出産を迎える時期であり、十分な配慮が必要です。また、出産後、育児を迎える職員は、周囲への遠慮からか十分な育児休業を取れない場合もあります。職員が安心して子育てに専念できるよう、職場全体でサポートしていきましょう。

@【本人】

・父親・母親になることが分かったら、できるだけ速やかに(遅くとも出生予定日の約5ヵ月前までに)所属長や人事担当者に申し出ましょう。そして、休暇取得予定など、今後の見通しや状況を伝えてください。また、育児休業の取得にあたっては、十分な子育てが行えるよう夫婦で役割分担を話し合い、休業の取得時期や分担取得などを検討した上で所属長に相談してください。

A【所属長】

・職員から申し出を受けたら、妊娠中の職員に対する各種の休暇が設けられていることを理解し、積極的に諸制度を活用するように呼びかけてください。育児休業に関しては職員が安心して子育てに専念できるよう、業務分担の見直しや代替要員の確保に努めてください。

【取り組み】

 職場復帰を迎える職員は、復帰後の仕事と子育てを両立してうまくやっていけるのか不安に感じます。少しでもスムーズな職場復帰が果たせるよう、本人も職場も協力していきましょう。

@【本人】

・子育ての合間を利用し、復帰後の業務と子育ての両立に向けた計画を立てましょう。そのためには職場のサポートが必要です。日頃から周囲の職員との信頼関係を築くことが大切です。

A【所属長・周囲の職員】

・育児休業中の職員に対しては、職場との断絶感や復帰への不安を和らげるため、広報誌やメールで業務の情報提供を行うなど、常に連絡を取り合うよう心がけてください。また、育児休業から復帰した職員は、業務に慣れるのに時間がかかるうえ、子どもの急な病気などににも対応しなければなりません。仕事と子育ての両立のための最も大切な時期ですから、業務分担などについてよく検討し、職場全体でサポートします。

【目標】

 これらの取り組みを通じて親となる夫婦の出産・育児と職場復帰が円滑に行われるよう、職場としてのサポート体制の確立を目指します。

 

3 男性職員の育児休業等の取得促進について

 男性職員の育児休業の取得率は0%となっています。育児休業は配偶者の就業の有無や育児休業の取得の有無にかかわりなく誰でも取得することができます。経済的な問題もありますが、子育てに参加することはそれ以上にたくさんの得るものがあります。可能な範囲で夫婦の話し合いの下、子育ての役割分担を行い、希望する男性職員が育児休業を取得できるよう、職場全体でバックアップしていきましょう。

 当組合の職員にかかわる出産や育児等については、ここ数十年該当する職員がいない状況です。ほとんどの男女の職員は育児を終えている状況です。しかしながら、今後若い職員の採用等がある状況も考慮して、その時の取り組みを計画しておきたいと思います。

【取り組み】

@ 育児休業制度の積極的な情報提供

 休業期間中の育児休業手当金支給や共済掛金等の免除、ボーナスや昇給への影響などの情報を提供することで、家計収入の減少に対する不安や疑問を少しでも解消できるように努めます。

A 配偶者出産休暇・男性職員の育児参加休暇の取得の促進

 出産に立ち会うことは大きな喜びであるとともに、母体が大事な時期であることから、夫の積極的な役割分担が求められる時期でもあります。また、父親として、子どもを持つことの喜びを実感するとともに、ともに育てるという自覚を持ち、産後の妻を支えることは大切です。そのためにも、配偶者出産休暇や育児参加休暇を積極的に利用していきましょう。

 

4 時間外勤務の縮減や休暇取得の促進について

 子育て中の職員だけでなく、家庭での生活が充実することは全ての職員が持てる能力を十分に発揮し、職務能率の向上にも繋がります。また、健康維持や女性の職場生活における活躍推進の観点からも時間外勤務の縮減や適切な休暇の取得は必要と考えられます。

【取り組み】

 部署により繁忙期(夏期・年末・年度末等)があり、一時的に時間外勤務が多くなる時期がありますが、厚生労働省の定める時間外労働の限度である月45時間を超える職員は殆どいません。職場環境の改善や、無駄のない業務計画と職員間による協力体制のもと時間外勤務は縮減しています。

(1)定時退庁の推進と時間外勤務を少なくする意識

 計画的・効率的な業務の推進と職員の健康保持のため、定時退庁の推進と時間外勤務を少なくする意識の啓発に努めます。

@【所属長】

・定時退庁促進のため、特別な事情がある場合を除き、自ら率先して定時退庁します。また、繁忙期の業務調整の他、職員の業務スケジュールを把握し、特定の職員に時間外勤務が偏らないように配慮してください。その他、時間外勤務の多い職員に対して、健康管理に気を配り時間外勤務縮減の取り組みの重要性について、職員への意識啓発を図ります。また、限られた時間の中で成果を出す生産性の高い働き方を促進するため、大幅な時間外勤務縮減を達成した取り組み等を、人事評価制度において、より適切に評価します。

・定時退庁の率先垂範を行います。また、時間外勤務の多い職員と部署を把握し、対象となる部署の管理職員から聞き取りを行ったうえで長時間勤務が及ぼす健康への影響を伝える等の注意喚起と指導の徹底を図ります。

A【全職員】

・日頃の業務において時間外勤務を縮減するよう心掛け、できるだけ周りの職員と声を掛け合って定時退庁するようにしましょう。そのためにも日頃から無駄のない業務スケジュールを心掛け、限られた勤務時間を有効に活用できるよう努めます。

・育児を行う職員の深夜勤務と時間外勤務の制限として、小学校就学前の子どもの育児をする職員は、仕事と家庭の負担がとりわけ大きいことから、請求に基づき深夜勤務や時間外勤務の制限を受けることができます。

(2)事務の簡素合理化の推進

 仕事と家庭の両立に向けて、時間外勤務の縮減や年次有給休暇の取得を促進するためには、日頃から事務の簡素化に向けた見直しや合理化を進めていく必要があります。

@【所属長】

・個々の業務が効率化されるだけでなく、全体としてのパフォーマンスが上がるよう、必要に応じた事務やその分担の見直しを行います。また、新たに行事等を実施する場合には目的、効果、必要性等について十分検討し、既存の行事との関係を整理し、簡素合理化できるものは簡素合理化し、廃止できるものは廃止するように努めます。

A【全職員】

・職員一人ひとりが業務の進め方などの改善について、課内や所属長に積極的に提案・実施し、事務の簡素化・合理化を図っていきましょう。

(3)休暇取得の促進について

@ 年次有給休暇の取得促進

【取り組み】

 家族や学校行事への参加、年末年始などと併せた年次有給休暇の利用や3日以上の連続休暇の取得を促進することで、職員の家庭生活の充実を支援していきます。そのためにも職員の休暇に対する意識の改革を図るとともに、休暇を取得しやすい職場の雰囲気づくりに取り組みます。

以下のような時に特別休暇、年次有給休暇を積極的に取得しましょう。

@ ゴールデンウィークや子どもの春休み・夏休み等

A 月曜日や金曜日(土日と組み合わせたハッピーマンデー・ハッピーフライデー)

B 入学式・卒業式・参観日等の学校行事やPTA活動

C 家族の誕生日、結婚記念日等

D 家族が病気の時や子どもの予防接種、健康診査

E 妊婦の定期健診、両親学級

 

5 地域を通じた子育て支援活動の推進の取り組み

 次世代育成支援対策は、家庭や職場との協力はもとより、地域との連携によって行われるべきものです。職員も地域社会の一員であり、地域における子育て支援の取り組みには積極的に参加しましょう。

@ 地域の子育て活動等への貢献

 スポーツや文化活動など、役立つ知識や特技のある職員は、地域で実施される子育て支援活動に積極的に参加しましょう。また、周囲の職員は、その活動に参加する職員が参加しやすいような環境づくりに努め協力体制を作りましょう。

A 子育てバリアフリーの推進

 外部から来庁者の多い庁舎において、子どもと一緒に安心して利用できるトイレやベビーシートの設置等を計画的に行います。また、こうした来庁者への配慮を通じて職員の子育てへの関心や意識を高めるとともに、より一層の親切且つ丁寧な対応を心掛けます。

 

6 女性の活躍推進に向けた取り組み

 平成27年8月、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律が制定されたことで地方公共団体にも、そこで働く女性職員の活躍推進に関する取り組みを計画し公表することが義務づけられました。それにより、働くすべての女性職員が自らが持つ個性と能力を十分に発揮できるような職場環境の整備がより一層重要となっています。特に出産・育児などのライフイベントに柔軟に対応しワーク・ライフ・バランスを反映した人事制度の構築が必要となります。

(1)子育てを行う女性職員の活躍推進に向けた取り組み

@ 子育てを行う職員の人事配慮について

 子育てを行う職員には、本人の意向を把握するとともに、できるだけ家庭生活に支障のないよう人事異動等の配慮を行います。

A 男性職員の家庭生活参加への推進について

 家事や育児、家族の介護等の家庭責任の多くを女性が担っているのが現状であり、男性職員の家事や育児への積極的な参加は、女性職員の活躍推進のためにも不可欠です。さらに、男性が家事や育児等の経験を得ることは、マネジメント力の向上や多様な価値観の醸成等を通じ職務における視野を広げるなど、男性自身のキャリア形成にとっても有用なものと考えられます。そのためにも、男性職員の家庭生活への積極的な参加促進を周知するとともに、全職員に対しても意識啓発の取り組みを進めていきます。また、男性の育児休業等の取得推進についても、育児休業を取得した身近な男性職員がいないことが、男性の育児休業取得者が増えない大きな要因と考えられるため、当計画に掲げている目標(10%)を目指し、少しでも多くの見本となる男性職員を増やしていきます。

B 所属長等の職場風土の醸成について

 子育て中の職員に対し、補助的な仕事ばかり与えたり、異動を勧めるなどの「過剰な配慮」は子育て中の職員の意欲をそぎ、キャリア形成を阻害します。固定的な考えに捉われることなく、職員の状況、意欲、能力に応じた適切な配慮や支援をすることが所属長等に求められます。職場全体が支え合い、助け合うことで「真のワーク・ライフ・バランス」が形成され、両立しやすい職場風土の醸成に取り組みます。

(2)働き方の改革について

 時間外労働を前提とした働き方は、女性職員が家事・育児等の家庭生活を営みつつ、職場で評価され活躍することを困難にするものであり、家庭か仕事の二者択一を迫る原因となりうることもあります。また、共働き世帯等の増加により今後、男性の家事・育児への参加が重要視されると考えられます。そのためには、個人だけでなく全職員の時間外労働の是正に対する意識改革が必要です。職員全体が「長時間労働」から短時間で成果をあげる「生産性の高い働き方」へと働き方を転換することにより、職員全体の「真のワーク・ライフ・バランス」を実現することが大切です。職員全体で協力し定時退庁を心掛け、家庭生活への参加を増やすと共に余暇の充実を図り、豊かな生活を過ごすことができるよう、働きやすい職場の実現を目指します。